この宇宙次元に散らばる諸世界のなかに、セレンダイルとフォーテイルというふたつの種族が共存する世界がありました。
しかし、ふたつの種族はお互いの特性を生かして共存するというよりも、刃を交える形で接することが多かったのです。
水と陸の種族の戦いは永遠に続くとさえ思われていたのですが、果ての無い戦いはフォーテイル族が異世界から召喚したひとりの魔法使いによって一応の終焉を迎えることとあいなりました。
異世界人の魔法使いは、フォーテイル族の暮らす大地とセレンダイル族の住まう水の境にシャイアという金色のの草を編み出すことにより、両種族の領域に境界線を作ったのです。
金色のシャイアはセレンダイル族の上陸を決して許しはしませんでしたが、フォーテイル族にも代価を与えたのです。シャイアがこの世界に生まれてからというもの、フォーテイル族は日の光のもとにある水に触れることが叶わなくなったのです…
魔法使いは二種族の境界線の代価として、両種族に対して均等に痛みを背負わせることにしたのでしょうか?
それはこの世界の誰にもわからないことでした―
とはいえ、セレンダイル族は魔力に長けた種族です。
現在はシャイアの金色の輝きに阻まれて上陸を阻止されている彼らも、時が過ぎればいつまた陸を侵攻するかはわかりません。
ゆえに、ふたつの種族の間に境界線が敷かれてから千年が過ぎても、フォーテイル族はセレンダイル族への警戒を解くことはありませんでした。
ヴェストゥール大陸に長い年月が過ぎたある日のこと、都メレルに次ぐ歴史を持つ街であるディレイの長アストラウルの命令により、魔法使いアレクシスがひとりの異世界人を招喚します。
招喚されたの実森茴香は地球人として生きてはいたものの、実はセレンダイル族の娘セレンディーヌとともにこの世界から姿を消したフォーテイル族の魔法使いユリニエールの娘。彼女のヴェストゥール招喚はある種の必然であるともいえました。
茴香は同じく地球世界の友人である沙崎玲、晟輝昴、そしてディレイの長の唯ひとりの姫であるアリステーゼらを伴なって、セダイユ夫妻の率いる商人団とともに大陸をめぐる旅に出るのでした。
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