左手にピザの入った皿を持ったまま
いつもの茶店の前で
ウロウロしていた
その店の一番隅っこの
お気に入りの場所で
アールグレイを飲みたかったのだけれど
皿を持ったまま
店に入るのを
ためらっていた
仕方なく公園に向かった
噴水の前のベンチに腰を下ろし
もうすっかり冷めてしまったピザを
口に運ぼうとしたその時
菜の花女子学園高等部の女の子たち数人に
取り囲まれてしまったのだ
「なあんだ。ここにいたの。探したんだよ」
女の子たちのひとりが親しげに
私にそう話しかけてきた
「はいこれ。あなたの分」
そう言い、別の女の子が私に差し出したのは
「カゴメのキレイに赤野菜」
ーええ!私にくれるの?なんで?ー
ーこの私に?ー
ー誰かと間違っていない?
ー私は、菜の花女子学園高等部の生徒じゃないよ!ー
そう思いかけて
見ればわかるかそんなこと、
それもそうだね、
はは、と笑いそうになっていた
「ありがとう」
そう言うのがせいいっぱいだった
私は
「カゴメのキレイに赤野菜」を飲んだ
夢中で夢中で夢中で
飲んだ
夢の中で
そうその夢の中で
私はたしかに
女の子たちの仲間だったのだ
まぶしいくらい
桃色がよく似合い
ふはふはと
綿菓子のように軽やかに
毎日を生きている
花も身もある
美しい十代の
セーラー服の
まぼろしの
菜の花女子学園高等部の
仲間だったのだ
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