保険教諭兼担任高瀬瑞葉
まぁ、食べなくても良いか。
俺は何も食べず、教室に戻った。
相変わらず、男子からは怨念のオーラが俺に送られてきている。
うわぁ、修羅場ってるじゃねぇか、俺の机。
たった十分程、席を開けただけなのだが、大量のチョコが山積みにされている。
・・・やっぱりフェロモンか何か、大量に出してるんだろうか?
俺は、机の上にある大量のチョコを見て、少しめまいを覚えたが本当に目眩がしてきて、ぶっ倒れた。
目を覚ますと、この前と同じ天井が目に入り、身体を起こす。
「んぁ? 夢・・・じゃないな、眼鏡じゃないし」
少し頭を振って、時計を見た。
時間は、1時半を少し過ぎたところで、現在授業中だ。
それはともかくとして、何であんなにチョコを貰うんだろうか、毎年近所のおばちゃんだったのになぁ・・・何でだ?
腕を組んで首を傾げると、ベッドとベッドを仕切っているカーテンが開いた。
「あら、目が覚めた?」
顔を出したのは、保健の教諭である高瀬瑞葉先生。
歳は、24歳と俺より7歳上。
美人で優しいし、校内の人気も高い。
しかも、恋人が居ないらしい。
「立候補して良いですか?」
「は?」
やべ、声にして出しちまった!!
俺は慌てて取り繕おうとするが、既に時遅し・・・
ばっちりと聞かれていたらしく、高瀬先生は顔を少し赤らめている。
え、何、その反応は・・・もしかして脈有りなの?
などと俺にとって、都合のいい考えに行き着くが、そんなワケないわな。
「「あ、あはははははは」」
2人同時に、乾いた笑いを発する。
う〜ん、もう保健室には来れないだろうな・・・多分。
暫く黙っていると、チャイムが鳴ったので、俺はベッドから降りた。
「じゃ、じゃあ、俺は教室に戻ります」
「あ、ええ、気を付けてね」
「は、はぁ・・・」
何か、会話しにくいぞ・・・
いきなりあんな事口走ってたからな、自業自得だ俺。
むぅ・・・マジで、何かイヤだぞコンチキショウ。
でも、高瀬先生を彼女にした人って、良いよな・・・ホントに。
柊さんや藤咲、葵姉、冴姉、巴姉には無い、色気というかそういうなのがあるよな・・・
恋人居るのかな、やっぱ居るだろうなぁ。
俺は、教室に戻るとそればかり考えていた。
放課後になって、俺は一度家に帰るとすぐに家を出た。
「えっと、確かここら辺なんだけど・・・って、アレは高瀬先生じゃん」
俺は龍太郎さんのスタジオに行こうと、道に迷っていると高瀬先生が居た。
手には買い物袋があり、誰かを待っているようにも見えた。
やっぱ、恋人待ちだろうなぁ・・・・
あ、手を挙げた、恋人か!?
俺は電信柱の陰に隠れると、高瀬先生を見ていた。
何かストーカーっぽいけど、コレは好奇心旺盛な俺の心が、とらせた行動だぞ?
だが、恋人じゃなくてタクシーを止めただけだった。
何だよ、少しがっかりしたぞ。
その後すぐに、俺はアルファ・ルーベンスのスタジオについて、龍太郎さんと話をしていた。
「そう言えば、今日バレンタインだったね・・・何個貰った?」
「分かりません」
「分からない程貰ったのか・・・いや、凄いね」
「なんつーか、去年までは、近所のおばちゃんだけだったな貰っていたのは」
「マダムキラー?」
笑いながら、龍太郎さんは言うが、俺にとってそれはマジで洒落になんねぇ
だが俺は、笑っていた。実際、俺もそう言う風に思っていたからだ。
シクシク・・・何か、虚しいッス。
んで、俺は暫く龍太郎さんと話していたが、いきなりモデルごっこヲしてみないか、と言われて俺はする事にした。
「おぉ、何か良いぞそのポーズ」
龍太郎さんがそう言い、俺は調子に乗って次々と違うポーズを決めていく。
写真は次々と撮られていき、何か滅茶苦茶楽しかった。
衣装も衣装で、妙に俺にマッチしていて、コレは俺のために作られたのか、と思うほどだった。
黒い革のズボン裸足で、俺はゴールデンレトリバーと遊んでいて、それを龍太郎さんが撮っていた。
「やっぱ、自然体の笑顔が一番良いね、輝いてるよ」
「はぁ・・・」
「で、モデルの件は考えてくれた?」
「まぁ一応は・・・」
「どうする、やるの?」
「やってみようかな・・・?」
「良かった良かった、それじゃ早速一枚撮ってみようか」
「あ、はい」
龍太郎さんがそう言うと、俺は衣装を代えてたった。
デニム生地のジーンズに茶色いブーツを履き、上は白いTシャツに黒い革ジャンを着ている。
頭を濡らされ、俺は額に手をあてて髪の毛を掻き上げる、その構図をフィルムに納めると、次は椅子に座りタオルを頭に被せて、足を組んで煙草をくわえているシーンを撮った、手にはビールの瓶があるんだが・・・龍太郎さん、俺は高校生だぞ、こんな写真ばかり撮って良いのか。
その後も、何回か構図を変えて写真を撮った。
「ん〜〜〜やっぱ、何か物足りないなぁ」
龍太郎さんはそう言い、指で四角を作りそれを覗き込む。
カメラのファインダーから覗き込んだそれと、同じ仕草をしている。
俺は高瀬先生の事を少し考えてみる。
俺の通ってる学校の保健医で、美人で優しく、聡明と三拍子揃っている正に、完璧な女性だ。
まぁ、欠点としては天然が入っていて、運動音痴と言うところだろうな。
そう言うところも、可愛く見えてしまうから問題ない。
ある意味で、恋人にしたい女性No.1だな、うんうん。
多分、俺はこの時壱時間近くは、それだけを考え込んでいて他の事が目に入っていなかったのだろう。
龍太郎さんに呼ばれて、振り向いて始めて気付いた。
「榊くん、この人と一緒に写真写ってくれない?」
「へ? あ・・・みじゅはしぇんしぇい?」
「榊くん、何でこんな所に?」
龍太郎さんに呼ばれ、俺が振り向いたら何故か先生が居た。
・・・何で、どういう関連性が在るんだ?
その後、色々と関連性をたぐってみた、しかも1秒ほどで。
やっぱ先生と龍太郎さんの関係は、恋人か!?
「あ、そうそう。 紹介しておくよ、僕の従妹の高瀬瑞葉」
「へ、従妹??」
「うん、その行動だと知り合い?」
「はぁ・・・私の学校の生徒よ」
「あ、そうなんだ、へぇ〜」
何か、元々知ってたって言う素振りですよ、アンタ。
俺は心の中で、龍太郎さんにツッコミを入れて置いた。
で、結局は高瀬先生と絡み・・・と言えば、エッチィかも知れないけど・・・を入れて、撮る事になった。
「榊くん、もう少し瑞葉に近寄ってくれない? 瑞葉はもう少し表情をきつめに、そうそう」
龍太郎さんの指示に従い、俺達はポーズを作っていく。
あぁ、先生の髪の毛いい匂い・・・たまらん。
ッテ何、少し悦が入ってんだ俺!
何かダメダメ街道まっしぐら、って感じがするな。
それでも俺は、抱きしめたいと言う衝動を抑えて撮影していた。
んで、撮影が終わり俺は溜息を付いた。
「はぁ・・・・」
「どうしたの、榊くん」
「え、いや・・・何でもないッス」
瑞葉先生の事を好きだ、ッテ言えるわけないしなぁ。
どうしたもんか・・・って、何だみんなこっち見てるぞ?
俺は視線に気付いて辺りを見回すと、先生が顔を紅くしている。
何だ、どーしたんだ???
「いやぁ、今凄いこと口走ったね、榊くん」
・・・ま、まさか、さっきのが口に出てたのか!?
うっそぉん!?
俺は顔をムンクの叫びのように変形させ、叫んでいた。
龍太郎さん他は笑っているが、当の本人の俺達は顔が真っ赤になっている。
そらそーだ、口に出して無いつもりが思いっきり出てたんだからな。
「榊くん、気持ちは嬉しいけど私達はその、教師と生徒という立場で・・・・」
何か、耳まで紅くしながら、先生は弁解する。
弁解と言うよりか、何か、返答に困っているという感じだが・・・まぁいいか。
そのまま瑞葉先生の言葉を聞きながら、言動を見ていた。
面白いほど、動揺していて何か可愛いな。
「あ、さ、榊くん!??」
ふぇ?
あ・・・何やってんだ俺!!
気付くと抱きついていた・・・あぁ、最早どうにでも慣れって感じだな。
俺はもう自棄になって、そのままの状態で居る事にした。
なんか知らんが、瑞葉先生は大人しく俺に抱かれている・・・
マジで、脈有りだったんすか、先生?!
え、だったら俺ら両想いジャン、ひゃっほぅっ!!
「いやいや、まさか瑞葉が生徒に惚れてるとは・・・」
「ちょ、龍兄ちゃん!!」
「アハハハ、でも恋人居なかったから丁度良いんじゃないか? 彼が卒業すれば、良いんだし」
「そ、それはそうだけど・・・って、あ」
今、肯定したよね、肯定しましたよね?
いやっほぅ、コレで先生は俺の彼女と言う事になりますねぇ、やったね俺。
それがきっかけで、俺は先生と付き合うようになった。
まぁ、学校では普段通り生徒と教師だが、学校が終わって敷地から出ると、俺は瑞葉と呼んでいる。
この前危うく、他の生徒&先生が居るところで、そう呼びそうになったっけ?
・・・すぎたる事は、気にしないで置こう。
んで、モデル業を始めて俺は一躍有名になってしまった、何だか背中がむず痒い。
2年後、俺はちゃんと卒業し、卒業するまでに家を一件建てられる程の金額があり、速攻で瑞葉と2人で暮らし始めた。
部屋には、初めてモデルをした時のパネルを飾っている。
瑞葉はそれを見て「凄い、色っぽい・・・」と一言述べた。
そんなに色っぽいのか、俺は・・・少し落ち込んだが、立ち直りも早い。
まさか、先生と同棲するとはねぇ、あの時の事を考えると、予想だにしなかったぞ、まじで。
今、俺は絶対に幸せだと断言できる。
好きな人と一緒に居る事ができる、それだけなのだが、それだけでも幸せなのだ。
願わくば、この幸せがいつまでも続くように・・・
The End
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