バレンタインモノ
願わくば、この幸せがいつまでも続きますように・・・
俺はボーっと机に座り、授業を聞いていた。
もうすぐ俺の嫌いなイベント、バレンタインデーだ。
何せ、クラブ活動はしてないし、ルックスもだめだから生まれてこの方親と姉ちゃん以外・・・と言っても義理だが・・・・貰ったことは無いし、同い年も又然り。
近所のおばちゃんからは、大量に義理チョコを貰うが何か虚しい気がする、って言うか虚しいと断言できるため、憂鬱になり凹む。
シャーペンを指で回しながら、窓から空を見上げると清々しいまでの快晴で、心が洗われるようだ。
結構厚手のレンズの眼鏡を掛けているので視力は結構悪い、しかも、この眼鏡のお陰で俺は勤勉と思われがちなのである。
眼鏡掛けてたら、勉強できると思うんじゃねぇぞ、ったく。
後数日で・・・バレンタインデーだ・・・あぁ、憂鬱になってくるな、ホントに。
余計な事を考えていたため、先生に当てられ俺の苦手な物理の問題をやらされた・・・更に凹みそうだ。
授業が終わり、自転車で家に帰る途中にいきなり目の前に星が飛び、意識が途絶えた。
気付くと、倒れていて近くに軟式の野球のボールが転がっており、左目辺りがズキズキと痛みを発していたので、手を持っていくと、ヌルリ、とした感触があった。
更に、砕けた眼鏡の破片が辺りに散らばっており、恐る恐る閉じている左目とは逆の右目へと持っていく。
紅い血が、俺の指についており俺の意識はそこで途絶えた。
再び気を取り戻すと、保健室の天井が目の前に広がっており、保健室のベッドで寝ていた。
身体を起こし、左目付近に手を持っていくと、ガーゼが貼られており出血の割には傷が浅かったらしく、惨事にはならなかったらしい。
惨事にならなかったのは良いが、眼鏡が砕けているためまともに目の前が見えないため、何処にサンダルが在るか分からず四苦八苦していると、カーテンが開かれ誰かが顔を出した。
目を細めて見てみると、同じクラスの女子で柊咲弥(ひいらぎさくや)と言う女の子だった。
「あの、榊(さかき)くん大丈夫?」
「ん、あぁ・・・まだ痛いけど大丈夫だよ、ありがと」
「え、あ・・・じ、じゃあ、私行くね!!」
そう言うと、柊さんは保健室から出ていった。
ベッドから降りてサンダルを履くと、保健の教諭に事情を話し、家に電話を掛けた。
電話に出たのは、元バスケ部のエースでルックスも良く、現在は自分で作詞作曲して歌手をしている二つ上の姉・冴が電話に出た。
事情を説明すると、単車で迎えに来ると言ったので、校門で待つ事20分。
紅いサイドカー付きの単車が止まり、俺はそこまで歩いていった。
俺はサイドカーに乗ると、冴姉がが話しかけてきた。
現在の俺とは似ても似つかぬ美女、と言えばいいだろうか、と言うか有名な冴と話している俺に好奇の視線が寄せられてくるが、無視して話を続ける。
「災難ね、栖桜(すおう)」
「全くだよ・・・凹むよ、ホントに」
「まぁ、頑張りなさい。 そうだ、これを期にコンタクトにしたらどう?」
「はぁ?」
「はぁ? じゃ無いわよ、元々そんなに目は悪くないんでしょう?」
「いや、悪いから牛乳瓶の瓶底とまでは言わないけど、厚いレンズの眼鏡を掛けてるんだから・・・」
「まぁそう言わずに、試してみましょう」
「ちょ、チョットまてよ、勝手に決めるなって!」
その後で色々と言ったが、結局、コンタクトにする事になり、数ヶ月分の小遣いが羽を羽ばたかせ消えていってしまった・・・冴姉の馬鹿野郎ぉぉぉぉぉぉっ!と、叫びたくなった。
と言うよりか、強制的にコンタクトレンズを作らされた、と言っても良いな、うん。
2、3日後、コンタクトを取りに行き、それを付けてみた。
最初は抵抗や違和感を感じたのだが、すぐにそれは無くなった。
色々な髪型を冴姉や葵姉、挙げ句の果てに幼なじみで二歳ほど上の巴姉にも教えて貰い、今の自分にどれが似合うか試してみた。髪型何て気に止めた事もなかったので、なかなか恥ずかしかった・・・・
で、結局はいつもの髪型に収まったのだが、冴姉がとやかく文句を言ってくるため髪型を変える事を決意させられた、と言うかせざるを得なかった。
コンタクトを作って、次の日、布団の中からいつも通り目覚まし時計を止めて、身体を起こし未だ眠たい眼をこすりながら、眼鏡を探すが一向に見つからない。
そこで、俺はコンタクトにした、と言うことを思いだしぼやけた視界の中を歩き、下へと降りていった。
「あら、お早いお目覚めで」
「何だ、冴姉今帰ってきたのか?」
「まぁね、葵姉はまだ寝てると思うわ」
「ん、そう・・・薫さんは?」
「さぁ・・・母さんもまだ寝てるんじゃない? ふぁ〜〜〜〜んにゅう・・・・」
「眠そうに欠伸してないで、朝飯は自分で作るから、さっさと寝ろ」
「そうさせて貰うわ・・・んじゃ、お休み」
冴姉はそう言うと、部屋に戻っていった。
姉とは言うものの俺と家族のみんなは、血は繋がっていない。
薫さんは俺のおばさんで、俺は薫さん姉の息子で、本当のお袋と親父は事故で死んでしまい、親父とお袋が死んだのは俺が4歳の時で、俺はそれ以来、薫さんの所に厄介になっているのだ。
薫おばさんと俺のお袋の年齢差は何と14歳。
俺は今18歳、おばさんの年齢は36歳。俺は丁度おばさんとは18歳下で、おばさんは高校生の時に葵姉と冴姉を生んだので、若い。
葵姉と冴姉は俺が4歳の時は2人は6歳と7歳で、何かと引っ張り回された事が記憶にある。
と言うより、弟みたいなのがで来て憂しかったのだと思う。
一人の女性として、俺は葵姉と冴姉を見た事は無い。
従姉同士は結婚できる(ハズ)が、やはりあの2人に恋愛感情を抱く事は無いだろう、多分。
朝食を作っていると、薫さんが起きてきた。
「栖桜おはよ〜〜〜〜朝御飯何か作ってぇ〜〜〜」
「良いッスよ、俺も丁度朝食を作りますし」
「ゴメンねぇ〜〜こき使うようなコトしちゃって」
「良いですよ、俺は居候の身なんですから」
「栖桜、居候何て言葉は使っちゃダメよ、貴方は姉さんの子どもで私の本当の子どもじゃないけど、私達の大事な家族よ」
薫さんがそう言うと、胸にこみ上げてくる物があった。
目頭が熱くなってきて涙が、頬を伝った。
「ありがとうございます、伯母さん」
「コラ! おばさんじゃなくて、お母さん、でしょ?」
「はい、母さん」
「宜しい。 あ、そう言えば学校は?」
「あぁ、この時間に出ても遅刻だし一限目から顔出します」
俺はそう答えながら、卵を綴じてオムレツを作る。
バターの香りが鼻につくが、換気扇にそれはすぐ消された。
手早く他にも料理を作り、母さん・・・何か、むず痒いな・・・に持っていき、茶碗に御飯をよそい机の上に置いて、2人で同時に手を合わせて、食べ始めた。
「そう言えば、明日だっけ?」
「はい?」
「はい? じゃないの、バレンタインデーよヴァレンタインデー」
「あぁ・・・バレンタインかぁ」
「何、知らなかったの?」
「知らなかったと言うより、覚えてなかったが、正しいかも」
「あらら、バレンタインデーは何も言い思い出はないの?」
「ええ、貰ったことはありませんしね」
「何言ってるのよ、毎年手作りの貰ってるでしょ、冴と葵と巴ちゃんから」
「ま、まぁ・・・確かに貰ってるけど」
「けど・・・何?」
「いやぁ、あまりに身近なんでそのぉ・・・」
「あぁ、一人に絞れないって事?」
「違う!!」
「あらら、真っ赤になっちゃって、純情ねぇ。 お母さんは、栖桜になら冴と葵を安心して嫁に出せるわ」
薫さんがそう言うと、俺はお茶を吹き出しそうになった。
ゴホゴホと咳き込んで呼吸が苦しい。
いや、マジで苦しい・・・と思っていると、背中をさすられた。
あぁ・・・助かった、と思い、後ろを見てみる。
パジャマを来た日本美人、という感じの女性が背中をさすっていた。
俺がこうなった張本人は既に、おらず部屋に戻っている。
「あ、ありがと、葵姉」
「大丈夫?」
「うん大丈夫」
「それより、後片づけは私がして置くから、栖桜は早く学校行きなさい」
「ん、分かった」
そう答えると、俺は歯を磨き顔を洗った後、髪型を整えて自分の部屋へ戻っていった。
自分の部屋に戻ると、鏡の前に座りコンタクトレンズを入れると、仏壇の前に座り線香を上げて手を合わせる。時間にして、数秒程度で俺は制服に着替えた。
紺色のブレザーに、ワインレッドのネクタイを締めて明るいグレーで、少しチェックの入ったズボンを履いて俺は鞄と財布を持って、黒いマフラーと手袋を付けると家を出た。
現在時刻は8時12分・・・余裕で間に合う時間帯だ。
自転車に跨り、思いっきりペダルをこいだ。
緩やかな坂道を上っていき、その先にある俺の通っている高校に着き、自転車置き場に自転車を置き靴箱へ向かう。サンダルに履き替えて教室に行くと、視線が俺に注目するのが分かった。
何だか変な気分だ・・・ざわざわとざわめく教室内、それを無視するかの如く俺は自分の席に座り、鞄を掛けた。
SHRが終わり、ダチと話しているとやはり、眼鏡の話題になった。
「お前、詐欺だぞ・・・それは」
「は? 何が詐欺なんだ?」
「かぁーーーっ、分かってねぇぞ、コイツ!!」
「シめろ、シめちまえ!!」
「んごっ、やめぃ!!」
いつもの事で、コイツらとじゃれ合っているとチャイムが鳴った。
授業が始まり瞬く間に、4弦目が終わり弁当を食べて悪友とじゃれ合っていた。
んで、再び授業が始まり瞬く間に、授業は終わり放課後になった。
鞄を背負い、帰ろうとする俺に、柊さんが近付いてきた。
何故か顔が紅いが・・・何だ、俺が何かした、ッテ分けじゃないよな?
などと変な事を色々と予想していると、柊さんは俺に話しかけてきた。
俺の前に立つと、しげしげと俺の顔を見てくる。
・・・何でこんなに観察するように、俺の顔を見て来るんだ!?
髪型が変とか、そう言うんじゃ・・・あぁ〜〜〜何か、スッゲー変な気分だよ姉ちゃん。
って、現実逃避してる場合じゃねぇか。
「あ、あの、柊さん何か用?」
「いえ、コンタクトにした方が格好いいなぁ、って遙ちゃんが言ってたから」
「遙ってぇと、学園のアイドルがか!?」
いつの間にか、後ろから俺の幼なじみにして腐れ縁、幼稚園の頃から天文学的確率なのだが、全部同じクラスの久嶋佐久也(くしまさくや)いて、佐久也が叫んだ。
殆ど耳元だったので、鼓膜が破れそうだったから、とりあえず、コイツに飯を奢らすこと決定。
因みに、遙と言うのは、学園のアイドル・・・実際、本当にアイドルなのだが・・・で、あの涼宮零慈率いる伝説のロックバンド、スレイプニルが見つけだしたアイドル(?)藤咲遙なのだ。
スレイプニルのメンバーは、メインボーカル兼ギターの涼宮零慈、ドラマーでサブボーカルの鳴海柾斗、ベースの歳神龍牙、キーボードの村雲悠の四名。
俺と同じ紫苑学園の生徒だった人たちだ。
最も、今現在では活動を停止中で、涼宮零慈がソロで活動しており、妻である夕樹をプロデュースした。
彼女自身、そこいらにいる普通の女子高生と同じで、俺は話しかける事は無いが、向こうから結構話しかけてくるので比較的、仲がいいと言えるかも知れないな・・・多分。
「へぇ、あの藤咲が俺のことを誉めるなんて・・・って、今日藤咲来てたの?」
「うん、遙ちゃん久しぶりに、学校に来たの」
「おい栖桜、俺を紹介してくれよ」
「誰を誰に紹介するの?」
佐久也の後ろに、一人の女子生徒が立っていた。
先程話していた藤咲遙で、長い金髪をうなじ辺りで結わえている。
この学校、昔から超がつく程の人気歌手やロックバンドを輩出しており、未だに根強い人気を持つSACRED・Dや、若い世代を中心に人気のあのFAVORITE・DESIREもそうだ。
藤崎遙もいずれはそうなるだろう、と言われている。
既に、何度かテレビに出演しており、人気はかなり高く、ストーカーも出始めてると言う噂もある。
「うん、やっぱり私の見た通りね、眼鏡外した方が格好いいじゃない」
「そうか? この前眼鏡壊れたから、冴姉に無理矢理かわされただけなんだけどな・・・」
「そう・・・で、コンタクトにした感想は?」
「目が痛い」
俺はそう言うと、下駄箱から靴を出して履くと柊さん、藤咲、佐久也も同じ様に靴を履いた。
自転車置き場まで行こうとすると、佐久也がいきなり大きな声で、しかも棒読みで。
「そういえば、明日はバレンタインかー、貰えると良いよな。 なぁ、栖桜!」
「お前、棒読みだぞ?」
「うぐっ・・・そ、そんな事は無いぞ、なぁ、藤咲さん!」
「さぁ、知らないわ」
軽くあしらわれ、かなり凹んでいる佐久也。
俺は少し苦笑したが、すぐにコイツに声を掛けて、元気づけようとしたが何か意味不明な言葉を叫びながらどこかへ走り去っていった。
暫くアイツを見ていたが、まぁ明日になればすっかり忘れてるだろうと思うけどな。
俺のすぐ隣で藤咲と柊さんが、話をしていた。
「そう言えば、由綺ちゃん明日も来れるの?」
「うん、明日は来るつもりよ」
「そうなんだ・・・」
「ねぇ、咲弥・・・お願いが在るんだけどぉ・・・」
「いいよ、一緒に作ろ」
「あら、さすが親友、分かってたのね」
「だって毎年そうだったじゃない」
「そう言えばそうだったわね」
「私の家で作る?」
「そうさせて貰うわ、今日と明日は休みだし、泊まって行くわ」
俺は2人の会話を聴いていて、たとえ片方が遠く離れた存在になってしまっても、仲はいいんだな、と2人を見てそう思った。
冴姉も葵姉も、多分巴姉もそうなんだろうな・・・
そんなことを考えながら、自転車を扱いていると目の前に、いきなり人が現れた。
思いっきりブレーキを掛けてその人の寸前で自転車は止まった。
眼鏡を掛けて、スーツを着ている眼鏡を掛けた男の人だ。
「き、君、モデルやってみないか!?」
「はぃ?」
「いや、だからモデルをしてみないか、と言っているんだ」
「結構です」
「そうか・・・あ、名刺を渡しておくよ。 気が向いたら電話してきてくれないかな?」
「一応受け取りますけど・・・」
「受け取ってくれるだけでも良いよ、ありがとう。 じゃあ、僕はこれで」
男の人の姿が見えなくなると、俺は名刺に目をやった。
“アルファ・ルーベンス 仲道龍太郎”
アルファ・ルーベンスって言えば、超有名なモデルクラブ・・・って言えば可笑しいけど、俺でも知ってる位、有名だぞ・・・何だって、そんな人が俺にモデルを進めてるのか・・・
名刺を財布に入れると、家路へと急いだがいきなり呼び止められ、自転車を止めると巴姉の姿があった。
両手には買い物袋があったので、荷物持ちで呼び止めたのだろう・・・確実に。
「丁度良かったわ。 すおーくんコレ持つの手伝ってくれない?」
「はぁ、別に良いですけど・・・って、言う前に籠に入れないで下さいよ」
「良いじゃない、別に♪ んじゃ、しゅっぱーつ!」
そう言うやいなや、巴姉はスタンドを付けてそれに乗った。
急に乗られたためバランスを崩すが、何とか持ちこたえて俺は自転車を漕いでいった。
二十分もしない内に、家の前に着くと巴姉はスタンドから降りて、籠に入れてある買い物袋を手にすると、自分の家へと入っていった。
自転車を置いて、家の中へ入ろうとしたらいきなり、後ろから抱きつかれた。
柔らかい感触が背中にある。
「ありがとね、すおーくん」
「あ、ああ・・・」
「赤くなっちゃって、可愛い♪」
うぐ・・・こういう状況は、絶対に誤解されるぞ。
巴姉、こんなコトして良いのか!?
と言っても、こんな事は昔からやられてるから、いつもの事だよな。
それに、未だにこういう事してるからな、仕方ないような仕方なくないような・・・微妙だ。
「巴姉、注目されてると思うんだけど・・・?」
「いいの、私は」
巴姉が良くても俺は良く無いぃぃぃぃぃぃっ!!
と、心の中で叫んだが、無碍に振り払うのは良くないと思うしなぁ・・・
何だかんだで迷っていると、玄関のドアが空いて冴姉が出てきた。
グハァッ・・・致命傷決定か!?
歯を食いしばり、飛んできそうな強烈なびんたに備えるが、一向に来る気配が無い。
恐る恐る目を開いてみると、白い視線が俺の心(?)に突き刺さる。
あぁ、俺をそんな目で見ないでぇぇぇぇぇッ!!
再び心の中で叫ぶ。
「あれ、冴ちゃんいたんだ」
「ええ、昨日からオフで家でゆっくりしてるのよ」
あぁ・・・巴姉と冴姉の間に、バチバチと電気が発生している・・・
このままじゃあ、俺にとばっちりが来そうだけど、巴姉に首を押さえられているから、動けない。
どないせいっちゅーんじゃい、こんな状況!!
涙を流しながら硬直している俺。
そこへ、救いの神(の様に見える)、薫さんが現れた。
「何やってるのよ、冴。 巴ちゃんも、そんなところで抱きついてないで、家に入りなさい」
薫さんがそう言うと、巴姉は俺から離れた。
一息着く間もなく、今度は冴姉に手を掴まれて家の中に引きずり込まれた。
巴姉もそれについて家に入り、俺は2人の間で脂汗を描きながら、ソファに座っている。
何で俺バッカ、こんな目に!?
ただ沈黙が部屋を支配しており、薫さんは好奇の目でこちらを見ている。
そこへ、葵姉も入って来て三つ巴状態になっており、俺は泣きたくなった。
あ、何か胃が痛くなって来たよ、兄貴・・・・って、兄貴って誰だよ俺。
数時間ほどして、俺は解放されたときには俺は真っ白に燃え尽きていた・・・
明日はバレンタイン、どうなるんだ俺の身体は、明日に備え(?)寝ようとベッドの中に入ったが、寝れそうにもなかったので、もう少し起きておくか。
俺は服に着替えると、財布を持って外へ出ていった。
まだ8時代・・・道理で寝れないわけだ・・・の繁華街はやはり人通りが多く、俺はゲーセンに行こうと歩いていた。
すると、人混みの中に見覚えのある顔があり、声を掛けてきた。
「やあ、奇遇だね」
「あ、確かアルファ・ルーベンスの・・・」
「仲道龍太郎、だよ。 一応名刺見てくれたんだ」
「はい、ホントに一応ですけどね」
頭を掻きながらそう言う。
龍太郎さんは、終始笑顔で俺と話していた。
それで、明日スタジオに見学に来て考えてくれ、と言われた。
俺は、一応行ってみます、と答えてそこで別れた。
龍太郎さんと会った事で、結構時間が経ってしまい、時計を見るともうすぐ10時を指そうとしていた。
ゲーセンに行く気も失せたので、家に帰って早々と寝てしまった。
そんでもって次の日、いつも通り朝飯を食って制服を着て、仏壇に手を合わせた後、俺は学校へと急いだ。
「はぁ・・・今日はバレンタインか、憂鬱だ・・・って何だこりゃ?」
靴箱を開けると、何個か包みが入っていたので、俺はそれを手に取って、誰からか見てみる。
名前は・・・匿名希望、どう言うこっちゃ?
その二つを手にとって教室へ行き、席に座っている。
クラスの連中が入って来て、顔に今日の成果が如実に現れていたので、笑うしかなかった。
何故か、こちらを見てボソボソ言っている男子達、そして黄色い声擬きを送ってくる女子達、何か背中がむず痒いぞコラッ
そこへ、柊さんと藤咲が来た。手には、2人とも包みを持っている。
「はい、これ」
「か、勘違いしないでよ、義理よ義理!」
(遙ちゃん、素直じゃないんだから・・・)
「ん、あぁ・・・ありがと」
俺は2人からそれを受け取った。
それを始めとして、クラスの女子が集まってきた・・・・
俺は、フェロモンか何かを発しているのか!?
全部受け取ると、山のようにチョコレートがある。
柊さんと藤咲は多分手作りだろう、昨日そんな話ししていたからな。
しかし、机の上いっぱいに置かれたコレ、どうしましょう?
男子からは憎悪の感情が込められた視線が送られてきて、休み時間になると違うクラス、もしくは1年と3年から貰った。
紙袋とか持ってきてないから、かなりやばいな・・・・
そんなことを考えてると、ここの卒業生である葵姉、冴姉、巴姉が何故か来た・・・あんたら、何でここに来てるんだよ。
3人とも大きな、包みを持っている・・・まさか、なぁ?
「栖桜、コレあげるわ」
「すおーくん、はい、私からのき・も・ち♪」
「はい、栖桜」
3人とも、それを俺に手渡すと、満足げな顔で帰っていった。
あぁ・・・男子からは増幅された憎悪・・・と言うより、怨念に近いモノが俺に向けられている。
昼休みになると、比較的・・・と言うか、全然人がいない場所で、俺は貰ったチョコを並べていた。
しかし、これだけのチョコレートどうするべさ、実際喰ってたら虫歯になりそうだからなぁ・・・・
貰った物は食べないとなぁ・・・誰のから食べよう?
1.冴姉のを食べる。
2.葵姉のを食べる。
3.巴姉のを食べる。
4.柊さんのを食べる。
5.藤咲のを食べる。
6.食べない。